施設規模の小ささ

日本で特別養護老人ホlムといえば1フロアにωim人、全体で100人も200人も入所できる病院のような構造のものが多いのですが、パリの下町の老人ホ1ムは初iω人が居住できるだけといったように、施設規模の小ささには驚きました。そして、入居者と話をするうちにわかったのですが、私はあのアパートの2階に住んでいた、私はあの肉屋を営んでいたといった具合いに、自分の部屋の窓から子供の頃から住んでいた家をよく見渡せるのです。すなわち、町内に小規模な特別養護老人ホlムがあり、からだの具合いが思わしくなくなるなどの事情があれば、町内の集会場に行くように町内の特別養護老人ホlムに入るのです。「集会場に行くように」と表現しましたが、これは昼食時にそのような感じを強く受けたからです。昼食は1階の食堂に全員が集まってとるのですが、入居者以上の数の食事が用意されていて、それらを近所の高齢者が食べに来ます。ちょうど飛行機の機内食のような食事内容で、小さなワイン1本ずつがトレイの上に乗っていて、入居者は近在の旧友と一緒にワインを飲みながら昼食をとって談笑するといった様子でした。このために入居者は杖を使って、または車椅子に乗って1階の食堂にまで降りてくる必要があり、座ることは友人とお喋りをし、世間の様子を知る第一歩のようでした。自立移動の第一歩「思一聞は椅子に腰をかけて座る」デンマークでもフランスでも、特別養護老人ホlムの居住者について特徴的だったのは、背もたれによりかかっている人も含めて、全員椅子に腰をかけて座っていた点です。居住する空間はベッドコーナーと、それを家具や植木で隔てた居住コーナーとに分けられ、昼間に私たちが突然訪問した際も、必ず居住コーナーで腰をかけてテレビを見たり編み物をするなどしていました。日本では居室の中心に寝床やベッドがあり、1日中寝たり起きたりの繰り返しで過ごす入居者が多いのですが、その点では著しく異なっていました。車椅子に座っていても、ベッドに寝ていても、動けない点では同じではないかと思われるかも知れませんが、両者は歴然と違います。座ることができれば車椅子を使えますし、車椅子に座れれば移動でき、外出もできます。もちろんベッド臥床のままでも移動したり、エレベーターに乗ることも不可能ではなく、最近では普段臥床しているベッドに患者さんを寝かせたまま手術室へ入室させる病院も多くなりました。しかし、寝たままでの移動では人手も要しますので、往々移動というわげにはいきません。